公開日:2019.10.10
出演者:童門冬二(作家)
近代日本をつくった男、渋沢栄一

4. 経済活動を支えたヒューマニズム

渋沢が終生大切にしていた肩書きがあった。老人や病者など困窮者のための保護施設として設立された養育院の院長である。渋沢は「論語と算盤」という言葉に象徴されるように、経済活動においても道徳性や精神性を重んじた。晩年にも悪化する日米関係を憂い、人形交換事業などに尽力している。彼の素晴らしい活動は、ヒューマニズムの精神があればこそだったのだ。

童門冬二

作家
1927(昭和2)年、東京生まれ。東京都庁にて広報室長、企画調整局長、政策室長等を歴任後、79年に退職。以後は執筆活動に専念し、歴史を題材に、組織と人間の問題を浮かび上がらせる手法で、数々の話題作を手がけている。第43回芥川賞候補。99年には勲三等瑞宝章を受章。